職業がら、電車なんかに乗っておりますと、ついついご婦人のお手元の指輪に目が行ってしまいます。たまに珍しい指輪やピアスなどに出会いますと、我知らず凝視してしまい、たまにお相手に気づかれ、不審人物かと怪しまれます。
指輪の場合は窃盗犯と間違われるのか、ご婦人方は片方の手でそっと指輪をお隠しあそばす程度で済みますが、これが耳飾りや胸元のネックレスなんぞになります話はややこしくなります。そのような場合、そのジュエリーを狙っている盗人という風には解釈されず、そのご婦人自体に目を付けた好色漢、不逞の輩という風な解釈をされる方が多いようでございますな。ある方は車両を移り、ある方には鬼の形相で睨めつけられ、ある場合は後ろから屈強なオヤジが現れ、胸倉をつかまれる。
かくの如くに艱難辛苦を乗り越えながらも、ジュエリーのトレンド観察に余念のないわたくしが、昨今よく目にするのが、今からご紹介いたしますような、可愛らしい、ちっちゃな指輪。まあ、こういうのが流行りだしてから、結構時間は立っておりますが、質屋というところ、なかなか旬のものは入ってこないので、これなんかも私共にとっては最新のデザインと言う事になります。
最近のこういった小ぶりなデザインの特徴の一つが、既存デザインのミニチュア化と言う点でございます。よく見かけますのが、婚約指輪の定番、6本爪のダイアモンドソリティアリングのミニチュア版。細いウデリングの頂上に細い針金のような爪に支えられ0.1キャラット前後の小さなダイアモンドあるいは他の色石が留まっておりまして、そのこじんまりした佇まいがまことに愛らしい。それをさらに同種のタイニーなりングと数多く重ね着け頂きますと、金満夫人が持てる全ての指輪を、持てる指全てにこれでもかとおつけ頂いた場合とは異なり、なんとも斬新、おしゃれな風情となるのでございます。
本日ご紹介のこちらも、そういった今風のタイニーな可愛らしい指輪ではございますが、こちらは、そういったものの中でも、ちょっと一ひねりの効いた商品なんでございます。
まず、こちらのデザインなのですが、これは典型的な色石の本格ジュエリーリングデザイン。中石があって、それをメレダイアがぐるっと囲み、それを支える腕上部にもダイアがずらっと並んでいる。こうしたデザインはサファイア、ルビー、アレキサンドライトなどの高級なオーバルカットの色石を留める場合によく使われるデザインなのですが、それをそのまんまミニチュア化してお洒落な普段付のファッションリングにしているわけなのですね。
しかし、それだけでは終わらない、この真ん中に留まっている石。一見サファイアとも見てとれる青い石ではございますが、なにやらサファイアにしては色が鮮やかすぎる。そうです、こちら知る人ぞ知る、といっても、あまり知る人とていない希少石アウィンまたはアウィナイトという宝石。
この宝石、同じく青い宝石ラピスラズリを構成する主要鉱物でもあるのです。左様、ラピスラズリから作る顔料を大量に用いた、かのフェルメールが愛したウルトラマリンの色そのものなのでございます。この宝石、単体としての存在は非常に珍しく0.1キャラットを超えるものは極めて稀。
この透き通った透明感あふれる鮮やかなブルーの宝石、一部マニアの間では垂涎の的。
この小さい結晶しか取れない希少石。そのサイズを逆手にとってこうしたタイニーなデザインに仕立て上げ、普段使いでお楽しみ頂けるデザインしたメーカーさんはエライ!
ただし、非常に繊細な石でございますから、扱いは慎重にお願いいたします。替えが簡単に見つかるような代物ではございませんゆえに。
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